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金屏風
2/25に書ききれなかった金屏風話を。

金屏風といえば、もちろん金箔が貼られた屏風で
金閣寺なんかもそうなんですが、どうもこの金ピカ状態というのが
権力の象徴的な感じがして長年好きじゃなかったのです。

この見方が180度変わったのが3年前に東京国立博物館で開催された
プライスコレクション『若冲と江戸絵画展』での事。
この時は若冲の絵を見るのが目的で、出口付近に金屏風が展示されていたけれど、
興味もなかったので素通りしようとしたその瞬間
ふっと照明が落ちた気がして振り返ると
照明がまるで朝日〜夕日のように変わっていき
それとともに、屏風の色や絵の見え方がどんどん変化するのだ!

この屏風を日光や月光の差し込む部屋に置いて見ていたら
1日の中でこんな風に変化していく様を見れるんだ!
季節によっても変化するだろうし・・・
そんな事を思いながらしばし呆然と眺めていた。

後で知ったのだけれど、これは
「日本美術を鑑賞する際、光の果たす役割は非常に重要である。」
というプライス氏の持論により、舞台に使われるような照明装置を使い
「自然光のように変化し、作品に表情を与える陰影ある光」を実現したという事らしい。

通常の照明で見ていたら、金箔を使った絵にこういう美しさ、
効果があるという事は知らずにいたので
この展示を見る事で、金箔の美しさを知る事ができ本当に良かったと思っている。

そんな事があって見た「美の壺」金箔の回。
金箔砂子で屏風を作られていた作者が
「金箔は光を反射するので、光の当たり具合で絵画とは違って
雰囲気が変わります。そこが面白いところです」
「金は扱いによっては品が悪くなります。
見飽きないように毎日楽しんでいただくために、品格があるものを
作りたいなと思っています」とおしゃっていたが
映し出された屏風は、本当に華やかでもあり渋くもある品格ある美しさで
こんな屏風を家に置いて、その変化を眺めてみたい!と思えるものだった。
もちろん相当高価なものだろうから買えるはずもないし置く場所もない。
それでもいつか・・・そんな事を夢見てしまう美しさだった。

きっと他にも、モノの意図する所、見方を知らずに「好きじゃない」
と思っているものがたくさんあるような気がする。
by do-loop | 2009-03-23 17:03 | days
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